专利摘要:
本発明は、金含有銅アノードスライムの酸溶解物(acid digest)から金を回収する方法に関する。該酸溶解物は、水との混和性が低いアルコールによって選択的に抽出される。次いで、結果として得られるアルコール抽出物から金が回収される。
公开号:JP2011513583A
申请号:JP2010547920
申请日:2009-02-27
公开日:2011-04-28
发明作者:カリン ソルデンホフ
申请人:オーストラリアン ニュークリア サイエンス アンド テクノロジー オーガニゼーション;
IPC主号:C22B11-00
专利说明:

[0001] 本発明は、銅アノードスライムからの金の回収に関する。]
背景技術

[0002] 発明の背景
アノード銅の電解精錬に由来するアノードスライムは、かなりの量の金および銀を含有する。該スライムの処理は、Te、Se、Pb、As、およびBiなどの不純物が存在するために複雑である。そのような供給原料から金および銀を回収するための商業的事業において採用されている方法は、個別の供給原料組成に大きく依存するが、一般的に、銅および場合によってはテルルを除去するための浸出を伴う。鉛およびセレンを制御するために、通常、焙焼および/または製錬が用いられる。次いで、電気分解によって銀が回収され、最後に電解精錬によって金が回収される。]
[0003] 脱銅されたアノードスライムの酸化的塩素化は、処理の初期において銀と金を分離する機会を提供し、これにより金の滞留(lock-up)時間の減少、並びにともすればより簡便かつ完全に湿式精錬的なフローシートをもたらすという点で、魅力的な処理選択肢である。該酸化的塩化物浸出により銀の大部分を残渣へと排除して溶液を生成し、そこから溶媒抽出によって金を回収可能とすることができる。このアプローチは、Kennecott塩化物プロセス(Hoffmann, J.E., Sutliff, K.E., Wells, B.A.およびGeorge, B.D.著, Proceedings ofCOPPER95 International Conference, Ed. W.C. Cooper, J.E. Dutrizac, H. Hein, G. Ugarte, The Metallurgical Society ofCIM, vol III, pp 42(非特許文献1))並びにMinataur(商標)プロセス(Feather, A., Sole, K.C.およびBryson, L.J.著, The Journal of the South African Institute of Mining and Metallurgy, July/August 1997, pp 169(非特許文献2); Feather, A., Sole, K.C.およびBryson, L. J.著, Randol Gold Forum'97, Monterey, California, USA, 1997(非特許文献3))の両方において使用されている。Kennecottプロセスでは、脱銅されたスライムに対して塩素化が適用され、ジブチルカルビトールによって溶液から金が抽出されるが、これはいくつかの重大な欠点を抱えた溶媒であり、その1つは水相においてその溶解度が高いことである。Minataur(商標)プロセスは、金泥に対して適用されているが、脱銅されたスライムの直接処理によって生じる、より高濃度の不純物を含む溶液においては、試験されていない。典型的な湿式精錬的なアプローチでは、脱銅されたスライムの酸化的塩化物浸出が使用され、これにより処理の初期段階において銀と金が分離され、溶媒抽出によって浸出液から金を回収することが可能となる。簡易フローシートを図1に示す。アノードスライムの処理に対するこのタイプの湿式精錬的アプローチは、世界中の様々な精錬所において実施されている。これらのタイプのプロセスは、従来のプロセスより重要な利点を有していることが主張されている。]
[0004] 上で述べたように、DBCは、銅アノードスライムの塩酸溶解(digestion)由来の液体からの金の抽出に使用されている。DBCは金に対して高い選択性を有しているが、以下の欠点を抱えている。
・DBCによる抽出における相分離は非常に遅く、非常に長い沈降速度を必要とする。
・DBCは、水相において高い溶解性を有する(0.3%すなわち3000mg/L)。蒸気蒸留によりDBCを抽残液から回収する必要がある。
・溶媒抽出DBC循環路由来の残滓を濾過することが推奨される。
・相分離時間が非常に長いために、DBC循環路における有機物のスクラビングはバッチ法によって実施される。並びに、
・金は、還元によって溶媒から逆抽出(strip)することしかできない。還元では逆抽出循環路に固体が導入され、その結果として残渣を生じる場合があり、かつ3つの相分離工程が必要である。その上、還元のために推奨される運転温度は75〜80℃である。]
[0005] したがって、例えば、脱銅されたアノードスライムの浸出に由来する塩化物溶液などの液体から金を抽出するためのより実用的な溶媒抽出法を開発する、いくつかの誘因が存在する。]
先行技術

[0006] Hoffmann, J.E., Sutliff, K.E., Wells, B.A.およびGeorge, B.D.著, Proceedings ofCOPPER95 International Conference, Ed. W.C. Cooper, J.E. Dutrizac, H. Hein, G. Ugarte, The Metallurgical Society ofCIM, vol III, pp 42
Feather, A., Sole, K.C.およびBryson, L.J.著, The Journal of the South African Institute of Mining and Metallurgy, July/August 1997, pp 169
Feather, A., Sole, K.C.およびBryson, L. J.著, Randol Gold Forum'97, Monterey, California, USA, 1997]
[0007] 発明の目的
本発明の目的は、上記の欠点の1つ以上を実質的に克服するかまたは少なくとも改善することである。]
[0008] 発明の概要
本発明の第一の局面では、金含有銅アノードスライムの酸溶解物(acid digest)から金を回収する方法が提供され、該方法は、
(a) 金を含むアルコール抽出物を形成するために、水における溶解度が低いアルコールで、酸溶解物を選択的に抽出する工程と、並びに
(b) 該アルコール抽出物から金を回収する工程と
を含み、酸溶解物中の金は該アルコール中へ抽出可能な形態である。]
[0009] 酸溶解物は、水性酸溶解物であり得る。酸溶解物中の金は、該酸溶解物中に溶解した金種として存在し得る。この金種は、アルコール中に抽出可能であり得る。該金種は、アルコールと反応して、アルコール中に抽出可能な第二の金種を形成することが可能であり得る。]
[0010] 個々にまたは任意の適切な組み合わせのいずれかで以下の選択肢を第一の局面と併せて使用することができる。]
[0011] 該アルコールは、20℃で水に対して約0.2w/w%、v/v%、またはw/v%未満の溶解度を有し得る。該アルコールは、第一級アルコールであり得る。該アルコールは、分枝鎖アルコールであり得る。該アルコールは、例えば、2-エチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、またはそれらの混合物であり得る。該アルコールは、アノードスライムの酸溶解物から金を選択的に抽出することが可能であり得る。]
[0012] 本方法はまた、酸溶解物を提供するために、酸を使用して金含有銅アノードスライムを溶解する工程も含み得る。該溶解工程は、アノードスライムを、濃縮した鉱酸、例えば濃塩酸と組み合わせる工程を含み得る。該酸を、酸溶解物において約3N〜約5N(例えば、約4N)の酸濃度を達成するのに十分な比率においてアノードスライムと組み合わせ得る。本方法は、酸溶解物を提供するために酸および酸化剤を使用して金含有銅アノードスライムを溶解する工程を含み得る。該溶解工程は、アノードスライムを、濃塩酸などの濃縮された鉱酸および過酸化水素などの酸化剤と組み合わせる工程を含み得る。該酸を、酸溶解物において約3N〜約5N(例えば、約4N)の酸濃度を達成するのに十分な比率においてアノードスライムと組み合わせ得る。酸化剤は、使用される条件下において該スライム中の金を確実に溶かすために、または、該アノードスライム中の金の少なくとも約90%を確実に溶かすために十分な量でアノードスライムに添加され得る。]
[0013] 該金含有銅アノードスライムは、脱銅されたアノードスライムであり得る。したがって、酸溶解物は、脱銅されたアノードスライムの酸溶解物であり得る。]
[0014] 該酸溶解物は、放射性元素(例えば、放射性金属)を含み得、かつ該放射性元素は、アルコール中に抽出され得ない。該放射性元素は、例えば、ポロニウムであり得る。該放射性元素は、ポロニウム-210または鉛-210またはビスマス-210であり得る。2種以上の放射性元素が存在する場合もある。放射性元素がまったくアルコール中に抽出されない場合もある。酸溶解物の酸性度とは、金がアルコール中に抽出されかつ放射性元素がアルコール中に抽出されないような、酸性度であり得る。酸溶解物中に存在する放射性元素の量の約10%未満がアルコール中に抽出され得る。酸溶解物の酸性度は、該溶解物中に存在する金の少なくとも約90%がアルコール中に抽出され、並びに該酸溶解物中に存在する放射性元素の量の約10%未満がアルコール中に抽出され得るような酸性度であり得る。]
[0015] 工程(a)の前の酸溶解物における全金属(またはカチオン)に対する金の割合は、重量比もしくはモル比で約4%未満であり得る。この割合は、酸溶解物中の金属原子(またはカチオン)の比率を指すとみなされ得る。]
[0016] 本方法の工程(a)は、連続向流式抽出を含み得る。]
[0017] 本方法は、さらに、アルコール抽出物をスクラビングする工程を含み得る。該スクラビングは、前述の抽出物から不純物を除去することを目的とし得る。この工程は、工程(a)と(b)の間に実施され得る。該スクラビングは、希鉱酸によるスクラビングを含み得る。この文脈において、不純物とは、1種または複数種の、金ではない金属、メタロイド、もしくは半金属を含む種を意味し得る。]
[0018] 工程(b)は、金含有水性抽出物を提供するために、水性抽出溶媒によってアルコール抽出物を抽出する工程を含み得る。該水性抽出溶媒は、中性または酸性であり得る。該抽出工程の前に、水性抽出溶媒のpHは約1を上回り得る。該抽出工程の前に、該水性抽出溶媒のpHは約5〜約8の間であり得る。]
[0019] 酸溶解物中の金は、Au(III)として存在し得る。酸溶解物中の金は、Au(III)錯体として存在し得る。これは、AuCl4-(例えば、HAuCl4)として存在し得る。]
[0020] 本方法は、水性抽出物中の金をAu(0)に還元する工程を含み得る。本方法は、水性抽出物中の金をAu(0)に還元する工程および該水性抽出物から金金属(Au(0))を分離する工程を含み得る。本方法は、Au(0)をさらに精錬する工程を含み得る。]
[0021] 本方法はまた、アルコール抽出物からアルコールを回収する工程も含み得る。回収されたアルコールは、工程(a)において再利用され得る。これは、工程(a)において抽出溶媒として再利用され得る。]
[0022] 一態様において、以下の工程を含む、金を回収するための方法が提供される:
・酸溶解物を提供するために酸および酸化剤を使用して銅アノードスライムを溶解する工程と、
・金を含むアルコール抽出物を形成するために、水に対する混和性が低いアルコールで酸溶解物を選択的に抽出する工程と、
・該アルコール抽出物から金を回収する工程。]
[0023] 別の態様において、以下の工程を含む、金を回収するための方法が提供される:
・酸溶解物を提供するために、濃縮された鉱酸および酸化剤を使用して銅アノードスライムを溶解する工程と、
・金を含むアルコール抽出物を形成するために、水に対する混和性が低いアルコールで酸溶解物を選択的に抽出する工程と、
・アルコール抽出物から、約1を上回るpHを有する水性抽出溶媒中に金を抽出する工程。]
[0024] 別の態様において、以下の工程を含む、金を回収するための方法が提供される:
・約3N〜約5Nの塩酸濃度を有する酸溶解物を提供するために、濃塩酸および過酸化水素を使用して銅アノードスライムを溶解する工程と、
・金を含むアルコール抽出物を形成するために、アルコールで酸溶解物を選択的に抽出する工程であって、該アルコールが、2-エチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、およびそれらの混合物からなる群より選択される、工程と、
・該アルコール抽出物から、約1を上回るpHを有する水性抽出溶媒中に金を抽出する工程。]
[0025] 別の態様において、以下の工程を含む、金を回収するための方法が提供される:
・約3N〜約5Nの塩酸濃度を有する酸溶解物を提供するために、濃塩酸および過酸化水素を使用して銅アノードスライムを溶解する工程と、
・金を含むアルコール抽出物を形成するために、アルコールで酸溶解物を選択的に抽出する工程であって、該アルコールが、2-エチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、およびそれらの混合物からなる群より選択される、工程と、
・希塩酸でアルコール抽出物をスクラビングする工程と、並びに
・該アルコール抽出物から、約1を上回るpHを有する水性抽出溶媒中に金を抽出する工程。]
[0026] 別の態様において、以下の工程を含む、金を回収するための方法が提供される:
・約3N〜約5Nの塩酸濃度を有する酸溶解物を提供するために、濃塩酸および過酸化水素を使用して、約85℃より高い温度で銅アノードスライムを溶解する工程と、
・金を含むアルコール抽出物を形成するために、アルコールで酸溶解物を選択的に抽出する工程であって、該アルコールが、2-エチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、およびそれらの混合物からなる群より選択される、工程と、
・希塩酸でアルコール抽出物をスクラビングする工程と、
・該アルコール抽出物から、約1を上回るpHを有する水性抽出溶媒中に金を抽出する工程と、並びに
・該水性抽出溶媒中の金を金(0)に還元する工程。]
[0027] 本発明はまた、第一の局面の方法によって回収されたAu(0)(金金属)の形態の金も提供する。該金金属は、約99.9重量%より高い純度を有し得る。]
[0028] 本発明の第二の局面では、銅アノードスライムの酸溶解物から金種を抽出するための第一級アルコールの使用を提供する。該第一級アルコールは、分枝鎖アルコールであり得る。該分枝鎖アルコールは、2-エチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、またはそれらの混合物を含み得る。]
図面の簡単な説明

[0029] ここで、単なる一例として、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい態様を説明する。
アノードスライムから金を回収するための湿式精錬法に関するフローダイヤグラム。
アノードスライム溶解物に対する金溶媒抽出プロセスに関するフローダイヤグラム。
アノードスライムから様々な元素を回収するための湿式プロセスに関するフローダイヤグラム。]
[0030] 本発明は、金回収法の金溶媒抽出工程に関する。好適なプロセス全体のフローダイヤグラムの例を図1に示す。本方法の用途の1つは、放射能の効果的な制御を達成することである。本明細書は、湿式塩素化浸出から生じる銅アノードスライム液から金を回収するための溶媒抽出プロセスについて説明する。脱銅、銀回収、セレン回収、および適切な酸化剤の存在下における塩酸中への銅アノードスライム溶解などの、溶媒抽出に先立つおよび後続する工程は従来技術であり、当技術分野において周知である。これらの単位プロセスは、様々な様式で本発明の金溶媒抽出法と組み合わせて使用され得る。]
[0031] 酸化的塩化物浸出試験からの濾液は、本明細書において説明される溶媒抽出法への供給原料として使用され得る。本発明による方法のフローダイヤグラムを、図2に模式的に示す。金種は、塩化物含有酸溶解物溶液から、金を選択的に標的とする活性試薬を含む溶媒相へと抽出される。したがって、溶媒は、活性試薬または活性溶媒または選択的溶媒と見なされ得る。アルコールは、金を含む種と(例えば、溶媒和により)反応して金錯体もしくは金種を形成し得る。そのような錯体の例は、HAuCl4-アルコールである。アルコールは、金を含む(錯体であり得る)種を溶媒和し得る。溶媒は、金に対して選択的であり得、かつ、抽出において用いられる条件下(酸性度、アルコール)においてそのような液体中に一般的に存在する不純物を排除し得る。重要なことに、溶媒は、ポロニウム-210などの放射性不純物を排除し得るか、または存在するポロニウム-210などの放射性不純物の大部分を排除し得る。また、溶媒は、酸溶解物中のセレン、テルル、銅、亜鉛、鉛、ビスマス、アンチモン、スズ、ヒ素、ニッケル、パラジウム、および白金の種などよりも、酸溶解物中の金種に対して、少なくとも部分的に選択的であり得る。溶媒由来の不純物をさらに制御/除去するためには、別々の水溶液による溶媒相のスクラビングが必要であり得る。次いで、金に富む(loaded)溶媒を、水溶液中に金を再抽出する逆抽出循環路に移送する。この金に富む逆抽出液は、別個の工程において、還元的沈殿により処理することができる。逆抽出された溶媒を、抽出循環路へ戻して再使用してもよい。本発明者は、そのようなプロセスにより、不純物に対する金の比率が<2%である溶液から、金種もしくは金錯体の形態であり得る>99.9%の金生成物へと改善できることを示している。主に2種の溶媒/試薬が、このために使用されている。それらは、一般的にイソデカノールとして知られる8-メチル-1-ノナノールと、イソオクタノールとしても知られる2-エチル-1-ヘキサノールである。これらの溶媒は、以下の利点を有する:
・水相における低い溶解度
・良好な相分離特性
・水溶液中に逆抽出することができ、かつしたがって溶媒抽出工程と金の沈殿/回収工程とを分離することができる
・室温で水溶液中に逆抽出することができる
・水を用いて逆抽出することができる
・Po-210、Bi-210、およびPb-210などの、液体中に存在する主要な不純物全てよりも、金に対して選択的である。]
[0032] 上記の特性を示す他の溶媒を本発明において使用してもよい。]
[0033] 驚いたことに、特定のアルコールは、銅アノードスライムの酸溶解物から選択的に金(金種)を抽出することができ、かつ特に、Po-210などの放射性元素を排除し得ることが、本発明者により見出された。好適なアルコールは、酸溶解物に対して比較的低い溶解度/混和性を有するものである。これは、水または酸溶解物に対する比較的低い溶解度または混和性によって特徴付けられ得る。好適には、水(または酸溶解物)におけるその溶解度は、20℃において、約0.2w/w%、v/v%、もしくはw/v%未満、または約0.15、0.1、0.09、もしくは0.08%未満であり得る。水におけるその溶解度は、例えば、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、または0.2%であり得る。該アルコールは、少なくとも約7個の炭素原子、または少なくとも約8、9、もしくは10個の炭素原子を有し得、あるいは約7〜約14個の炭素原子、または約7〜12個、7〜10個、8〜12個、10〜12個、10〜14個、もしくは8〜10個の炭素原子、例えば、約7、8、9、10、11、12、13、もしくは14個の炭素原子を有し得る。これは、直鎖アルコールであり得る。これは、分枝鎖アルコールであり得る。これは、脂環式基を有し得る。これは、1つ以上の二重結合を含み得る。該アルコールは、1つ以上の三重結合を含み得る。該アルコールは、20℃において液体であり得る。アルコールの混合物を使用してもよい。該アルコールの混合物は、20℃において液体であり得る。該混合物中の各アルコールは、独立して、上述のものであり得る。好適なアルコールとしては、2-エチル-1-ヘキサノールおよび8-メチル-1-ノナノールが挙げられる。トリデシルアルコールまたはトリデシルアルコールを含む混合物も使用することができる。これらのアルコールは、比較的安価でかつ比較的自由に入手可能であるという利点を有する。]
[0034] 2-エチル-1-ヘキサノールの水への溶解度は、20℃において0.07%であることが報告されている。これは好都合に、20℃において0.3%の溶解度を有することが報告されているジブチルカルビトールに匹敵する(すなわち、実質的により低い)。]
[0035] 本発明の第一の局面の工程(a)において使用される抽出溶媒(すなわち、酸溶解物を選択的に抽出してアルコール抽出物を形成するために使用される液体)は、上述のように、アルコールまたはアルコールの混合物を含み得る。これは、上記アルコールまたはアルコールの混合物から本質的になってよい。これは、前記アルコールまたはアルコールの混合物からなってよい。該抽出溶媒は、希釈剤を含み得る。該アルコールまたはアルコールの混合物は、該希釈剤に対して可溶性または混和性であり得る。したがって、抽出溶媒は、アルコール(またはアルコールの混合物)と希釈剤との混合物からなってよく、または本質的になってよい。アルコール(またはアルコールの混合物)と希釈剤との混合物は、20℃において液体であり得る。希釈剤は、不活性希釈剤であり得る。希釈剤は、上述のアルコールなどの活性なまたは選択的な抽出溶媒の不在下において、酸溶解物から金を選択的に抽出することができなくてもよい。これは、炭化水素希釈剤であってよい。これは、芳香族炭化水素希釈剤であってよい。これは、脂肪族炭化水素希釈剤であってよい。これは、芳香族と芳香族炭化水素との混合物であってよい。これは、ケロシンベースの希釈剤であってよい。該ケロシンベースの希釈剤は、様々な芳香族含有量、パラフィン含有量、およびナフテン含有量を有し得る。該希釈剤は、何らかの他のタイプの不活性希釈剤であって(もしくは、含んでいても)よい。該希釈剤は、抽出溶媒の約10〜約95%の間に相当してもよく、あるいは重量もしくは体積あたり約10〜50、10〜20、20〜95、50〜95、70〜95、90〜95、20〜80、30〜70、40〜60、20〜50、25〜95、または50〜80%に相当してもよく、例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、80、または95%に相当し得る。]
[0036] 工程(a)における、酸溶解物に対する抽出溶媒の体積比は、約0.1〜約10の間であり得、あるいは約0.1〜5、0.1〜2、0.1〜1、0.1〜0.5、0.1〜0.2、0.3〜0.5、0.5〜10、1〜10、2〜10、5〜10、0.5〜5、0.5〜2、0.5〜1、1〜5、または1〜2の間、例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、または10であり得、あるいは、いくつかの他の好適な比率であり得る。一般的に、金は溶媒相において濃縮される。したがって、酸溶解物に対する抽出溶媒の比率は、約1未満、例えば約0.1〜約1が好ましい。抽出溶媒は、酸溶解物中に存在する金の実質的にすべて(例えば、少なくとも約80、85、90、95、または99%)を錯体化するのに十分な量のアルコールが含まれるような十分な量において、使用され得る。抽出溶媒中のアルコールは、酸溶解物中の金に対して少なくとも約1、または少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、10、20、50、または100のモル比において存在し得る。本明細書において説明する方法は、酸溶解物中に存在する金の少なくとも約80%、あるいは少なくともその約85、90、95、96、97、98、または99%、あるいはその約80〜約99%、あるいはその約80〜95、80〜90、85〜99、90〜99、90〜95、または95〜99%を回収することが可能であり得る。これは、酸溶解物中に存在する金の約80%、あるいはその約85、90、95、96、97、98、または99%を回収することが可能であり得る。これは例えば、酸溶解物中の金の少なくとも約90%を、重量またはモルベースで少なくとも約99%純度の形態で回収することが可能であり得る。試薬濃度および/または溶媒対水の比率は、(上述の)所望の割合の金を抽出するように調節され得る。]
[0037] したがって、本発明の方法は、上述の抽出溶媒により、銅アノードスライムの酸溶解物を選択的に抽出する第一の工程を含む。次いで、結果として得られたアルコール抽出物から金が回収される。回収された金は、金属金であってもよく、あるいは金化合物もしくは錯体であってもよく。酸溶解物は、水性酸溶解物であってもよい。]
[0038] 該酸溶解物は、酸を用いて金含有銅アノードスライムを溶解することにより得ることができる。該溶解には、濃縮された鉱酸が使用され得る。好ましい酸は塩酸である。酸の濃度は、少なくとも約5N、あるいは少なくとも約6、7、8、9、または10Nであり得る。これは、例えば、5、6、7、8、9、10、11、または12Nであり得る。該酸は、約3〜6Nの間の、あるいは約3〜5N、3〜4N、または4〜5Nの、例えば、約3、3.5、4、4.5、5、5.5、または6Nの最終酸濃度を達成するのに十分な比率で液体と組み合わせてもよい。該溶解は、銅アノードスライムからの金の抽出または浸出として見なされ得る。このために使用される酸は、浸出液または溶解用混合物(digesting mixture)として見なされ得る。金含有銅アノードスライムは、酸化状態3未満、例えば酸化状態0または1の金を含み得る。これは2種以上の金種を含み得る。これは1種以上のAu(0)種および1種以上のAu(I)種を含み得る。これはAu(III)へと酸化可能な形態の金を含み得る。これは、酸化状態3未満の金に加えてまたはその代わりに、酸化状態3の金(すなわち、Au(III))を含んでもよい。]
[0039] 金含有アノードスライムを溶解するために使用される酸は、酸化剤を含み得る。好適な酸化剤としては、過酸化水素および塩素が挙げられる。該酸化剤は、例えば、約5〜約27M、あるいは約5〜20、5〜10、10〜20、20〜27、または10〜15、例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27Mなどの濃縮液として酸(またはアノードスライム)に添加され得る。酸化剤は、+3未満の酸化状態でスライム中に存在する任意の金をAu(III)へと酸化することを可能にするのに十分な強さの酸化剤であり得る。該酸化剤は、+3未満の酸化状態で存在する任意の金をAu(III)へと酸化するために必要とされる量より、モル過剰(例えば、10%、20%、50%、または100%過剰)で提供され得る。使用される酸化剤の量は、スライム中に存在する他の元素の酸化も同様に考慮する必要があり得る。溶解工程は、任意で酸化剤を含有する酸と共にアノードスライムを加熱することを含み得る。該加熱は、アノードスライム中の金を酸に溶解させるのに好適な温度までおよび好適な期間で、行いうる。金の少なくとも約90%を酸に溶解させてよく、あるいは金の少なくとも約91、92、93、94、95、96、97、98、または99%を酸に溶解させてよい。該温度は、酸の還流温度であってよい。これは、約70℃を超えてもよく、あるいは約75、80、85、90、または95℃を超えてもよい。これは、約70〜約110℃の間、あるいは約70〜100、70〜90、80〜110、90〜110、または90〜100℃、例えば、約70、75、80、85、90、95、100、105、または110℃であってよい。好適な温度は、約96℃である。溶解のために好適な時間は、少なくとも約1時間、あるいは少なくとも約2、3、または4時間、あるいは約1〜10、1〜5、1〜2、2〜10、4〜10、3〜8、または3〜5時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10時間である。]
[0040] 銅アノードスライムの溶解において酸および酸化剤の両方が使用される場合、これらを別々にスライムに添加してもよく、あるいはこれらを組み合わせた後にスライムに添加してもよいことが容易に理解されるであろう。]
[0041] 結果として得られる酸溶解物は、少なくとも約1g/L、あるいは少なくとも約2、3、4、または5g/L、あるいは約1〜約40g/Lの間、あるいは約1〜20、1〜10、1〜5、5〜40、10〜40、20〜40、5〜20、または5〜10g/L、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40g/Lの金濃度を有し得る。]
[0042] アルコールによる抽出に先行して、所望の酸濃度を達成するために酸溶解物を希釈してもよい。別掲のように、所望の酸濃度は、約3N〜約6Nであり得る。]
[0043] このように、酸溶解物を提供するために酸を使用して金含有銅アノードスライムを溶解する工程は、溶解用混合物中においてアノードスライムを溶解することを含み得、該溶解用混合物は、濃縮された酸(例えば、塩酸)および酸化剤(例えば、過酸化水素)を含む。これは、溶解用混合物中においてアノードスライムを加熱することを含み得る。これは、アノードスライム中の金の少なくとも約90%を溶解するのに十分な温度および期間において、溶解用混合物中でアノードスライムを加熱することを含み得る。これは追加で、結果として得られる酸溶解物を、約3N〜約6Nの間(あるいは、約3〜5N、3〜4N、4〜6N、5〜6N、または4〜5N、例えば、約3、4、5または6N)の酸濃度まで希釈することを含んでもよい。]
[0044] 本方法は、銅アノードスライムまたは脱銅されたアノードスライムから金を選択的に抽出するのに好適であるが、全金属に対する金の割合が低い他の液体または水溶液から金を抽出するのにも使用され得る。特に、本方法は、放射能を有するアノードスライムの酸溶解物から金を分離することが可能であり得、したがって、放射能から金を分離することが可能であり得る。放射能は、1種以上の放射性同位元素、例えば、ポロニウム-210、鉛-210、ビスマス-210などの形態で酸溶解物中に存在し得る。本方法は、酸溶解物中に存在する放射性同位元素を(または各放射性同位元素を独立して)約10%未満、あるいはその約5、2、1、0.5、0.2、または0.1%未満を抽出し得る。本方法は、金が酸溶解物中の金属、メタロイド、および/または半金属に対して小さな割合である、すなわち重量またはモルあたり約50%未満、あるいは約40、40、20、10、5、または2%である酸溶解物からの金の選択的抽出に対して、特に好適である。金は、金属、メタロイド、および/または半金属の約0.01〜約50%または約0.01〜約20%、あるいは約0.01〜10、0.01〜5、0.01〜2、0.01〜1、0.1〜20、0.5〜20、1〜20、5〜20、10〜20、1〜20、5〜20、10〜20、1〜10、1〜5、1〜2、2〜5、または5〜10%に相当し得る。これは、酸溶解物中の金属、メタロイド、および/または半金属の約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、または50%に相当し得る。酸溶解物中に存在し得る他の元素としては、セレン、テルル、銀、銅、亜鉛、鉛、ビスマス、アンチモン、スズ、ヒ素、ニッケル、パラジウム、および白金が挙げられる。これらは、アルコール中に抽出できない形態またはごくられた程度しか抽出できない形態で酸溶解物中に存在し得る。典型的な銅精錬スライムの分析を以下に示す。]
[0045] (表1)典型的な銅精錬スライムの組成範囲{(Hoffmann, J. E., The World's Most Complex Metallurgy - Revisited. Proceedings of European Metallurgical ConferenceEMC2007, Vol. 2, pp. 555-570に従う}]
[0046] 銅の電気分解で得られるスライム中に存在するこれらおよび他の元素には、多種多様な化学形態がある。]
[0047] 銅の電解精錬プロセスの際に放出される金および銀のごく小量が、非常に小さな金属粒子として残留物に現れる。金はセレンに対して強い親和力を有しており、Ag-Seセレン化物包有物上で核形成する。金の別の一部は、精錬プロセスの際にスルフェート溶液中に溶解し、後に、銀と共に酸化生成物(oxidate)相の微量成分として沈殿する。金の大部分は、不連続のAg-Au-Cuセレン化物相に現れる(例えば、金属間AgAuSeの形態である、Ag2-xAuxSe)。]
[0048] 銅アノードに由来する銀は、酸性電解質溶液にある程度可溶性である。この溶解した銀の一部は、銅セレン化物であるCu2Seと反応し、個別かつ金属間のAg-CuおよびAg-Auセレン化物種(例えば、銀セレン化物であるAg2Seおよび銀銅(I)セレン化物であるAgCuSe)を形成する。]
[0049] Seと同様に、テルルはAuおよびAgと優先的に結合し、かつ、主にCu-Agセレン化物-テルル化物相で、並びに、例えばAg2Te、Au2Teなどの他の個別かつ金属間のテルル化物の形態で見出される。]
[0050] 加えて、電解プロセスの際に、ヒ素、アンチモン、およびビスマスが溶解し、ごく小量の金属がPb-Sb-As-Bi酸化物として沈殿する。鉛も、硫酸鉛PbSO4の形態で検出される。]
[0051] 沈殿した銅は、多数の形態で存在し、主に金属間化合物であるカルコゲン化物として、例えば、銅銀セレン化物であるAgCuSe、銅セレン化物であるCu2-xSex(式中、x≦1)、銅テルル化物であるCu2Te、および銅硫化物であるCu2Sとして存在する。銅も酸化生成物相に現れ、かつ硫酸塩またはヒ酸塩の形態で見出される。]
[0052] 本方法の工程(a)の抽出は、バッチ式抽出、例えば反復バッチ式抽出を含み得る。これは、連続抽出、例えば連続向流式抽出を含み得る。1つの向流式抽出器が存在し得る。2つ以上の向流式抽出器、例えば、2、3、4、5、または6以上の向流式抽出器が存在してもよい。2つ以上の向流式抽出器の場合、ある運転モードで、最終抽出器で使用する新鮮な抽出溶媒を含めてもよく、抽出溶媒が酸溶解物と反対方向で一連の抽出器を通過するように、これを最後から2番目の抽出器へ、そして次へと最初の抽出器まで通過させる。]
[0053] 本発明に使用される抽出溶媒は、酸溶解物中の金種に対して選択的である。金は、抽出前には金錯体として酸溶解物中に存在し得る。該金錯体は、金(III)錯体であり得る。これは、ハロゲン化金錯体であり得る。これは、AuX4-として存在し得、ここでハロゲンは、例えば、塩素、臭素、またはヨウ素(あるいはこれらの2つ以上の混合物)である。これは、AuCl4-として存在し得る。抽出溶媒は、金錯体に対して選択的であり得る。金が抽出物中の金属、メタロイド、および半金属の総量に対して重量もしくはモルベースで少なくとも約70%、または少なくとも約75、80、85、90、もしくは95%、例えば、約75、80、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%の割合でアルコール抽出物中に存在することは、十分に選択的であり得る。]
[0054] しかしながら場合によっては、抽出工程で提供されるよりも高い純度が必要とされ得ることは理解されるであろう。この場合、本方法は、上記抽出物から不純物を除去するために、スクラビング剤(scrubbing agent)で抽出物をスクラビングする工程を含み得る。好適なスクラビング剤は、希鉱酸である。該希鉱酸は、アノードスライムの溶解に使用されるものと同じ鉱酸を含んでもよく、または異なる鉱酸を含んでもよい。これは、鉱酸の混合物を含み得る。これは、例えば、希塩酸であり得る。該希鉱酸は、約0.01〜4Nの鉱酸であってもよく、あるいは約0.01〜3、0.01〜2、0.01〜1、1〜4、2〜4、1〜3、0.5〜2、0.05〜1、0.1〜1、0.5〜1、0.01〜0.5、0.01〜0.1、0.01〜0.05、0.05〜0.5、または0.05〜0.2であってもよく、例えば、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、または4Nの鉱酸であってもよい。スクラビングは、スクラビング剤によるアルコール抽出物の抽出を含み得る。これは、連続向流式で実施され得るか、またはバッチ式で実施され得る。該スクラビングにより、アルコール抽出物中の金の割合は、全金属、メタロイド、および半金属に対する割合として、少なくとも約90%まで、あるいは少なくとも約95または99%まで、例えば約90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%まで高まり得る。該スクラビング剤は、金以外の金属に対して少なくとも部分的に選択的であり得る。]
[0055] 金は、アルコール抽出物から、任意で、スクラビングされたアルコール抽出物から、水性抽出溶媒による抽出によって得られ得る。該水性抽出溶媒は、約1より大きなpHを有し得る。これは、ほぼ中性のpHであり得る。該水性抽出溶媒のpHは、約1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、または7より大きなpHであり得る。これは、約1〜8、1〜7、1〜5、1〜3、1〜2、2〜8、4〜8、6〜8、7〜8、2〜3、3〜4、4〜5、5〜7、または6〜7であり得、例えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、または8であり得る。該水性抽出溶媒は、希酸、例えば希塩酸であり得る。該希酸は、約0.01〜約0.1Nの間、あるいは約0.01〜0.5、0.5〜0.1、0.02〜0.08、0.03〜0.07、または0.04〜0.06の間、例えば、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、または0.1Nであり得る。該水性抽出溶媒は、水であり得る。該水は、少なくとも約99%の純度、あるいは少なくとも約99.5または99.9%の純度であり得る。]
[0056] 上述の任意のまたはすべての抽出工程は独立して、室温または何らかの他の都合の良い温度において実施され得る。該温度は、例えば、約10〜約30℃、あるいは約10〜20、20〜30、または15〜25℃、例えば約10、15、20、25、または30℃であり得、あるいは場合によっては何らかの他の温度、例えば、35、40、45、50、55、または60℃において実施され得る。]
[0057] 抽出によってアルコール抽出物から金を得るための代替手段として、直接還元によってアルコール抽出物から金を得てもよい。これは、例えば、シュウ酸などの還元剤により金含有アルコール抽出物を処理することによって達成され得る。]
[0058] 本方法は、水性抽出物中の金をAu(0)へと還元する工程を含み得る。Au(0)は、金属金の形態であり得る。そのような還元は、当技術分野において周知である。該還元は、水性抽出物中の金を還元剤と反応させることを含み得る。好適な還元剤としては、二酸化硫黄、亜硫酸塩、シュウ酸塩、およびシュウ酸が挙げられる。本方法は、さらにAu(0)を精錬する工程を含み得る。そのような方法も当技術分野において周知であり、例えば、Millerプロセス(塩素ガスを溶融状態の金に通す)および電解精製が挙げられる。金を還元してAu(0)にする工程は、さらなる精製(すなわち、金ではない金属、メタロイド、および/または半金属などの不純物の除去)を提供し得る。これにより、金の純度は重量またはモルベースで約99%より高く、あるいは少なくとも約99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、または99.9%まで、例えば、約99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、99.91、99.92、99.93、99.94、99.95、99.96、99.97、99.98、99.99、99.995、または99.999%まで高まり得る。]
[0059] 水性抽出物中の金種を、還元および(任意の)さらなる精錬の前に、さらに精製してもよい。これは、例えば、(アノードスライムに関して上述したような)水性抽出物の酸性化および有機抽出溶媒中への金の抽出を含み得る。該有機抽出溶媒は、金に対して選択的なものであるべきである。この目的のための好適な有機抽出溶媒は、元の酸性液体のための抽出溶媒として使用されるアルコールである。結果として得られる有機抽出物を次に、(任意で、酸溶解物のアルコール抽出物の抽出に対して前述したのと同じ)水性抽出溶媒中へと再抽出することができ、結果として得られる金水溶液から金を回収することができる。]
[0060] 本明細書において説明する方法は、金の滞留期間を従来の方法より短縮し得る。滞留期間とは、本方法に導入された金含有供給原料が生成物となるまでに必要な期間と定義される。本明細書に記載したような、方法の最初に金を溶解させた後に抽出循環路に連続的に供給する連続抽出法では、金の滞留時間は他の方法よりもずっと長い。本発明の方法における金の滞留時間は、約1〜約10日間の間であり得るが、この範囲より長くてもまたは短くてもよい。金の滞留時間は、約1〜7、1〜5、1〜3、3〜10、5〜10、または5〜8日間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間であり得る。]
[0061] 本明細書に記載の方法によって提供される金金属は、重量またはモルベースで約99%を超える、あるいは少なくとも約99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、または99.9%の純度、例えば、約99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9、99.91、99.92、99.93、99.94、99.95、99.96、99.97、99.98、99.99、99.995、または99.999%の純度を有し得る。]
[0062] 金の回収に好適なプロセスの全体を図3に示す。本発明の方法は、主に、図3の右側の部分に関する。従来の回収プロセスに対する、図3において説明されるような脱銅されたスライムの酸化的塩素化を用いる回収プロセスの利点としては、以下が挙げられる:
・簡便、コンパクト、かつ効率的;
・人件費の削減;
・通常は従来の精製法と比べてより安価かつより生産性が高いこと;
・高収率で金属を回収すること;
・アノードスライムから抽出された元素をより良好に分離し、かつしたがって
-不純物濃度が有意に低下した金属を製造する;
-プロセス由来の残渣の望ましくない循環を回避する;
・有害物質(例えば、セレンおよび鉛など)の大気中への放出をもたらす高温処理(例えば、製錬)を回避し、かつしたがって
-二次スラグおよびリバート(revert)の高コストな再使用を回避する;
-労働安全性および労働条件を大幅に高める;
-環境により良好である;
・金および銀の(滞留)期間が大幅に低減する;
・仕掛かり在庫が大幅に減少する。]
[0063] 以下は、銅アノードスライムから金を回収および精製するための金溶媒抽出プロセスの適用を実証する具体例である。SXプロセスは、脱銅されたスライムの酸化的塩化物浸出を使用するフローシートに組み入れられる。単純化したフローシートを図1に示す。]
[0064] アノードスライムの前処理
銅アノードスライムは、主成分としてCu、Au、Ag、Pb、Se、Te、Sb、Ni、As、およびBiを含有する。該銅アノードスライムの組成は、様々なプラント運転に対して実質的に変更可能であるが、通常、表2に示された範囲内である。銅アノードスライム中のAu濃度は、最大2%であることに注意されたい。Po-210などの放射性核種の存在を含めて、他の多くの不純物も低濃度で存在する。以下に概説された試験のための溶液を作製する際には、典型的な銅アノードスライムの範囲内の組成であるがSb濃度の低い銅アノードスライムを使用した。]
[0065] (表2)アノードスライムの典型的な組成]
[0066] 脱銅されたアノードスライムを、酸化的塩化物浸出により処理した。これは典型的に、濃HCl(12M)およびH2O2(12.6M)を脱銅されたスライムに添加することによって実施された。96℃の温度を還流条件下で4時間維持した。Auの非常に高い溶解(> 98%)が達成された。AgおよびPbは残渣へ排除され、わずか<0.05%のAgおよび6.7%のPbしか溶液中に混入しなかった。SeおよびTeの溶解性は、非常に高かった(>98%)。As、Bi、および残存するCuの著しい溶解も起こった。得られた液体は、5〜10g/LのAuを含有していた。]
[0067] 実施例1 Po-210を上回るAuへの試薬の選択性
以下の試験において、上述のような脱銅されたスライムの酸化的塩素化から作製された浸出液を使用した。該浸出液を、様々な塩酸濃度(1〜8MのHCl)を有する一連の溶液中でAu約160mg/Lとなるまで希釈した。次いで、分離試験において該溶液を同じ容量の有機溶液に接触させた。以下の2つのタイプの溶液を試験した:
(i) Escaid 500(低芳香族含有量の炭化水素希釈剤)中の50体積%のイソデカノール(Exxal(登録商標)10)
(ii) Escaid 500中の50体積%の2-エチルヘキサノール。
HCl濃度に応じたAuおよびPo-210の抽出率を表3に示すが、HCl濃度を3〜5Mの間で調節した場合、残渣へと排除されるPo-210の割合が高くなりかつAu抽出率が高くなることが見て取れる。]
[0068] (表3)アノードスライムの典型的な組成]
[0069] 実施例2溶媒抽出によるAuの回収および精製
溶液中のカチオンに対する比率4.1%のAuを含む、脱銅されたアノードスライムの酸化的塩素化から得られる浸出液を、以下のように試験した。浸出液を、バッチ向流式モードで、Escaid 300希釈剤中に50体積%のイソデカノールを含有する有機溶液に、4段階抽出で接触させた。確実に平衡に達するように、5サイクルを実施した。4.5のA:O比(すなわち、有機溶液に対する浸出液)を用いた。溶媒抽出プロセスへの供給原料は6.5g/LのAuを含有し、得られた金に富む有機物は30.3g/LのAuを含有していた。>96%の金が抽出された。金に富む有機物の分析を表4に表すが、これは、主な不純物であるSe、Te、As、およびSbに対してAuが4.1%から82%へと向上したことを示している。金に富む溶媒を、塩酸溶液によるさらなる7段階の向流式スクラビングに供した結果、Auを93%までさらに向上させた。スクラビングされた溶媒を希塩酸溶液(0.05N)で逆抽出し、金に富む逆抽出液を作製した。金に富む逆抽出液にシュウ酸ナトリウムを添加することによってAuを直接沈殿させ、結果として99.9%純度のAu生成物を得た。]
実施例

[0070] (表4)溶媒抽出を用いたAuの精製]
权利要求:

請求項1
金含有銅アノードスライムの酸溶解物(acid digest)から金を回収する方法であって、(a) 金を含むアルコール抽出物を形成するために、水に対する混和性が低いアルコールで該酸溶解物を選択的に抽出する工程と、(b) 該アルコール抽出物から金を回収する工程とを含み、該酸溶解物中の金が該アルコール中に抽出可能な形態である、方法。
請求項2
アルコールが、20℃で水に対して約0.2w/w%、v/v%、もしくはw/v%未満の溶解度を有する、請求項1記載の方法。
請求項3
アルコールが第一級アルコールである、請求項1または2記載の方法。
請求項4
第一級アルコールが分枝鎖アルコールである、請求項3記載の方法。
請求項5
分枝鎖アルコールが、2-エチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項4記載の方法。
請求項6
酸溶解物を提供するために酸を使用して金含有銅アノードスライムを溶解する工程を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
請求項7
溶解工程が、アノードスライムと濃塩酸とを組み合わせることを含む、請求項6記載の方法。
請求項8
金含有銅アノードスライムを溶解する工程において、酸と共に酸化剤が使用される、請求項6または請求項7記載の方法。
請求項9
酸溶解物が放射性元素を含み、該酸溶解物の酸性度が、該溶解物中に存在する金の少なくとも約90%がアルコール中に抽出されかつ該酸溶解物中に存在する該放射性元素の量の約10%未満が該アルコール中に抽出されるような酸性度である、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
請求項10
放射性元素がポロニウムである、請求項9記載の方法。
請求項11
工程(a)の前の酸溶解物中の全金属に対する金の割合が、重量またはモルあたり約4%以下である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
請求項12
工程(a)が、連続向流式抽出を含む、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
請求項13
以下の工程を追加的に含む、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法:アルコール抽出物から不純物を除去するために該抽出物をスクラビングする工程であって、工程(a)と(b)の間に実施される工程。
請求項14
スクラビング工程が、希鉱酸によるスクラビングを含む、請求項13記載の方法。
請求項15
工程(b)が、金含有水性抽出物を提供するために水性抽出溶媒でアルコール抽出物を抽出することを含む、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
請求項16
水性抽出溶媒のpHが約5を上回る、請求項15記載の方法。
請求項17
水性抽出溶媒のpHがほぼ中性である、請求項16記載の方法。
請求項18
水性抽出物中の金をAu(0)へと還元する工程を含む、請求項15〜17のいずれか一項記載の方法。
請求項19
Au(0)を精錬する工程をさらに含む、請求項18記載の方法。
請求項20
酸溶解物中の金がAu(III)として存在する、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
請求項21
酸溶解物中の金がAuCl4-として存在する、請求項20記載の方法。
請求項22
アルコール抽出物からアルコールを回収する工程を含む、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
請求項23
回収されたアルコールが工程(a)において再使用される、請求項22記載の方法。
請求項24
請求項1〜23のいずれか一項記載の方法によって回収された、金。
請求項25
約99.9重量%を上回る純度を有する、請求項24記載の金。
請求項26
銅アノードスライムの酸溶解物から金を抽出するための、第一級アルコールの使用。
請求項27
第一級アルコールが分枝鎖アルコールである、請求項26記載の使用。
請求項28
分枝鎖アルコールが、2-エチル-1-ヘキサノール、8-メチル-1-ノナノール、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項27記載の使用。
請求項29
酸化剤が過酸化水素または塩素である、請求項8記載の方法。
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